特集 病態から考える薬物療法
第XIV章 細菌感染症
3 蜂窩織炎
飯島 茂子
1
Shigeruko IIJIMA
1
1はなみずきクリニック,皮膚科
キーワード:
蜂窩織炎
,
黄色ブドウ球菌
,
グラム陽性球菌
,
血清亜鉛低値
,
亜鉛補給
Keyword:
蜂窩織炎
,
黄色ブドウ球菌
,
グラム陽性球菌
,
血清亜鉛低値
,
亜鉛補給
pp.906-908
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003289
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主として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus),次いで化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)などのグラム陽性球菌による真皮深層から皮下組織に及ぶびまん性急性化膿性炎症性疾患である1)。大腸菌,クレブシエラ,プロテウス,緑膿菌などのグラム陰性桿菌との混合感染もある。好発部位は下腿がもっとも多く,足部・大腿・臀部と続く。上肢の発症頻度は少なく,まれに両側性がある(図1-a~c)。感染経路は,① 掻破などによる微小な亀裂や足白癬による趾間の浸軟,外傷などから直接菌が皮表を貫通して真皮に感染を生じる経路が一般的である。そのほか,② 毛孔や汗口などから侵入し,毛包炎・癤や汗腺膿瘍などから深部に波及する場合,③ 接触皮膚炎,虫刺症に二次感染をおこし発症する場合,④ 骨髄炎や筋炎など深部組織の化膿巣から波及する場合,などがある。しかし,経皮的侵入経路が明らかでない場合もある。リンパ浮腫,静脈性うっ滞などの血行障害がある場合は発症の局所要因となる。
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