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増刊号特集 最近のトピックス2018 Clinical Dermatology 2018
5.皮膚科医のための臨床トピックス
Helicobacter cinaedi感染症と蜂窩織炎
Helicobacter cinaedi infection and cellulitis
清水 聡子
1
Satoko SHIMIZU
1
1市立札幌病院皮膚科
1Department of Dermatology, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan
キーワード:
Helicobacter cinaedi
,
蜂窩織炎
,
菌血症
Keyword:
Helicobacter cinaedi
,
蜂窩織炎
,
菌血症
pp.156-158
発行日 2018年4月10日
Published Date 2018/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205413
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summary
Helicobacter cinaediは,最近注目されているグラム陰性らせん状桿菌で,主に免疫不全患者に腸炎,蜂窩織炎や菌血症をきたす.ところが,H. cinaediによる蜂窩織炎は,日常よく経験するグラム陽性球菌による蜂窩織炎とは臨床的に異なる点が多い.すなわち,H. cinaediによる蜂窩織炎は,病変を複数箇所に認める傾向があり,病初期は真皮を中心とした軽度のsuperficial cellulitis(表在性蜂窩織炎)から始まり,皮下脂肪織への進展は後から起こることが多い.皮疹の成因はいまだ不明だが,腸管に存在していた菌が血流に侵入し,血行性に皮膚に波及したものと考えられている.診断は難しいことがあり,H. cinaediの蜂窩織炎について知識がないと,見逃したり,非感染性の皮疹と誤って診断してしまう可能性がある.治療後もしばしば再発を繰り返すため,正しい診断と,適切な治療が重要である.
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