特集 病態から考える薬物療法
第Ⅸ章 血管炎・血管障害
5 抗リン脂質抗体症候群
室 慶直
1
Yoshinao MURO
1
1名古屋大学医学部,皮膚科学教室
キーワード:
抗カルジオリピン抗体
,
抗血栓療法
,
抗β2グリコプロテインⅠ抗体
,
抗リン脂質抗体症候群
,
ループスアンチコアグラント
Keyword:
抗カルジオリピン抗体
,
抗血栓療法
,
抗β2グリコプロテインⅠ抗体
,
抗リン脂質抗体症候群
,
ループスアンチコアグラント
pp.812-817
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003272
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抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,以下APS)は動脈あるいは静脈血栓症,習慣流産などの妊娠合併症を主要徴候とし,血清学的に抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies,以下aPL)が陽性となる自己免疫疾患と考えられている。全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,以下SLE)などの自己免疫疾患に伴う二次性APSがよく知られているが,基礎疾患が明らかでない原発性APSも,特に若年性の脳梗塞や下肢静脈血栓症,あるいは習慣流産患者などでよくみられる。また,非常にまれではあるがAPSの特殊型として,急激に全身に多発性の血栓が生じ多臓器不全に陥る,生命予後の非常に悪い劇症型とよばれる病型もある。APSの診断の基本は,① 動静脈血栓症や妊娠合併症などが存在し,② 血中にaPLが証明されることであるが,分類基準としてはSapporo基準・Sydney改変のもの(表1)1)が用いられることが多い。
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