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1 検査の意義と適応
小児慢性特定疾患および指定難病の対象疾患である抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome:APS)は,血中に抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibodies:aPL)とよばれる自己抗体が存在し,動静脈血栓症をきたす疾患である。aPLのおもな対応抗原は,陰性荷電リン脂質自体やリン脂質と結合した蛋白複合体であり,aPLは複数存在する。APS国際分類基準の2006年改訂Sapporo基準では,用いるaPLとして抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibodies:aCL),抗β2グリコプロテインⅠ抗体(aβ2GPⅠ),ループスアンチコアグラント(lupus coagulation inhibitor:LAC)が含まれており,血栓症または妊娠合併症を認め,aPLの1項目以上が12週間の間隔をあけて2回以上証明される場合にAPSと分類した。2023年改訂ACR/EULAR基準1)では,少なくとも以下の臨床徴候のうちひとつ以上(静脈血栓症・動脈血栓症・微小血管障害・産科合併症・心弁膜症・血小板減少)を満たし,3年以内にaPL項目3点以上(LAC 1回のみ陽性:1点,LAC持続陽性:5点,aCL IgM and/or aβ2GPⅠIgM:1点,aCL IgG and/or aβ2GPⅠIgG:力価によって4~7点)のときAPSと分類した。ただし,この改訂基準は観察研究や臨床試験で使用するために作成されたものであり注意が必要だが,特異度の高い分類基準となっている。APSは,関連する全身疾患のない原発性APSと,膠原病,とくに全身性エリテマトーデス(systemic Lupus erythematosus:SLE)に合併する続発性APSに分けられる。また,小児SLEの分類基準の1項目である免疫学的異常のうちのひとつはaPL陽性(aCL IgGまたはIgM陽性,またはLAC陽性,または血清梅毒反応偽陽性)である。
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