特集 病態から考える薬物療法
第Ⅸ章 血管炎・血管障害
6 うっ滞性症候群
出月 健夫
1
Takeo IDEZUKI
1
1NTT東日本関東病院,皮膚科
キーワード:
うっ滞性皮膚炎
,
脂肪皮膚硬化症
,
下肢静脈瘤
,
圧迫療法
,
血管内焼灼術
Keyword:
うっ滞性皮膚炎
,
脂肪皮膚硬化症
,
下肢静脈瘤
,
圧迫療法
,
血管内焼灼術
pp.818-822
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000003273
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うっ滞性症候群は,下肢への静脈血うっ滞による静脈高血圧から生じるさまざまな症状を指す。通常は下腿に生じる。静脈血のうっ滞を引き起こす疾患(病態)は多様であるが,静脈高血圧による症状(うっ滞性症候群)の臨床像は似ており,治療も共通してくる。このため,うっ滞性症候群は症状と原因疾患に分けて考えると理解しやすい。静脈高血圧により慢性的に血管透過性が亢進した状態では,フィブリノーゲンや赤血球が漏出,慢性的な炎症を生じ,ヘモジデリン沈着や結合組織の増生,硬化がおこる。このため年余に及び軽快増悪を繰り返すと,皮下組織が硬くなり色素沈着を伴ってくるのが大きな特徴である。また,静脈血のうっ滞は動脈血の流入を阻害し組織の栄養状態が障害されるため,皮下組織の線維化と相まって潰瘍を生じると難治となる。
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