Aspergillus nigerによる爪真菌症の1例

Onychomycosis caused by Aspergillus niger

87歳，女性。初診の約2週前に左第1趾の後爪郭部に疼痛を自覚した。湿布を貼付していたところ，同部位の爪が黒色に変色した。初診時の直接鏡検で，球形の頂囊，褐色の分生子が認められた。真菌培養では，辺縁が白色，中央は黒色のコロニー形成がみられ，Aspergillus nigerと診断された。爪の変色部を丁寧に除去し，ルリコナゾール外用液で治療し略治した。Aspergillus属による爪真菌症は非常にまれであり，そのなかでも外用のみで治療した症例は少ないが，良好な活性をもつ抗真菌薬の内服でも治療が困難な場合があり，治療薬の選択以外にも初期の十分なデブリードマンが治療において重要であることが示された。