Dr.斎田の皮膚科診断講座 特別編
メラノーマの病理組織診断をめぐる論点(1) Dysplastic nevusとは何か?~表在拡大型メラノーマ早期病変とClark母斑の鑑別~
斎田 俊明
1
Toshiaki SAIDA
1
1信州大学名誉教授
キーワード:
メラノーマ
,
組織発生
,
SSM in situ
,
dysplastic nevus
,
Clark母斑
Keyword:
メラノーマ
,
組織発生
,
SSM in situ
,
dysplastic nevus
,
Clark母斑
pp.1299-1309
発行日 2020年8月1日
Published Date 2020/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002127
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Dysplastic nevus(DN)は良性の色素細胞母斑と表在拡大型メラノーマ(SSM)の中間病変としてClark学派によって1980年前後に提出された疾患概念である。これに対してAckermanは,DNと診断されている病変の多くは良性の母斑(Clark母斑)にすぎないとし,メラノーマ(MM)の大多数は母斑とは無関係に,表皮メラノサイトの癌化によってMM in situとして生じると主張した。激しい論争の後,2000年頃までにはMM in situ病変の存在が承認された。しかし,2015年にBastianらが中間病変の存在を支持する分子遺伝学的研究を報告し,WHO教本の2018年版には従来のDNの概念が復活した。本稿では,中間病変の存在を否定する立場からMMの組織発生について考察し,SSM in situとClark母斑が組織学的に鑑別可能なことを記載した。
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