Dr.斎田の皮膚科診断講座 特別編
メラノーマの病理組織診断をめぐる論点(2) Atypical Spitz Tumorとは何か?~メラノーマとSpitz母斑の鑑別~
斎田 俊明
1
Toshiaki SAIDA
1
1信州大学名誉教授
キーワード:
メラノーマ
,
病理組織診断
,
Spitz母斑
,
atypical Spitz tumor
,
生物学的悪性度
Keyword:
メラノーマ
,
病理組織診断
,
Spitz母斑
,
atypical Spitz tumor
,
生物学的悪性度
pp.1417-1426
発行日 2020年9月1日
Published Date 2020/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000002164
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メラノーマ(MM)とSpitz母斑の正確な組織学的鑑別は皮膚病理診断におけるもっとも難しく,かつ重要な課題である。さらに近年,良性のSpitz母斑とMMの中間的病変とされるatypical Spitz tumor(AST)なる疾患概念が提案され,混乱が深まっている。このASTはSpitz母斑から逸脱する組織所見を呈し,所属リンパ節転移を生じることはあるが,遠隔転移をきたすことはまれで,予後良好な疾患とされている。また最近,Spitz母斑系列の病変には,通常の母斑やMMとは異なる,独特な遺伝子異常が認められることが明らかにされた。本稿では,これらの知見を踏まえて,ASTの疾患概念と診断基準を批判的に検討,考察した。そのうえで,実例をあげてSpitz母斑とMMの組織学的鑑別のポイントを解説した。
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