臨床講義
日本人のメラノーマの特性
宇原 久
1
Hisashi UHARA
1
1札幌医科大学医学部,皮膚科学講座,教授
キーワード:
メラノーマ
,
日本人
,
遺伝子
,
免疫療法
Keyword:
メラノーマ
,
日本人
,
遺伝子
,
免疫療法
pp.1711-1715
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000001025
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転移をおこしたメラノーマ(悪性黒色腫)患者の治療は限られていたが,米国では2011年から,日本では2014年から新薬が続々と登場し始め,メラノーマの治療が大きく変わってきている1)~3)。これまでの殺細胞性抗癌剤(中心的な薬剤はダカルバジン)による1年生存率は35%,2年生存率は10数%だったが,最新の治験参加者(比較的状態の良い症例が参加している)の長期フォローのデータでは3~5年生存率が30~40%に達している。新薬は主に癌細胞に対する免疫学的攻撃を復活させる抗体薬(免疫チェックポイント阻害薬)と遺伝子変異によって異常に活性化した細胞増殖に関連する分子を抑える低分子量分子標的薬からなる。一方,公開されているエビデンスのほとんどは白人のメラノーマ患者[紫外線関連の悪性黒子型(lentigo maligna melanoma,以下LMM)や表在拡大型(superficial spreading melanoma,以下SSM)]を対象にした治験によるものである。日本人に多い末端黒子型(acral lentiginous melanoma,以下ALM)や粘膜型は,LMMやSSMと,新薬の適応や効果発現に差がある可能性がある。本稿では日本人に多いメラノーマの特性について解説し,欧米から報告されているエビデンスをどの程度日本人患者に当てはめられるのか,という点について考えてみる。
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