臨床講義
血管腫・血管奇形
神人 正寿
1
Masatoshi JINNIN
1
1和歌山県立医科大学,皮膚科,教授
キーワード:
血管系腫瘍
,
乳児血管腫
,
毛細血管奇形
Keyword:
血管系腫瘍
,
乳児血管腫
,
毛細血管奇形
pp.203-211
発行日 2019年2月1日
Published Date 2019/2/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000001209
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皮膚にはさまざまな脈管病変が出現する。外来受診される,あるいはときに入院加療となるそのような病変は,本邦・欧米とも習慣的にその多くが腫瘍というイメージをもって「血管腫」あるいは「hemangioma」,「angioma」と呼称されてきた。しかし,例えば単純性血管腫(hemangioma simplex)や海綿状血管腫(cavernous hemangioma)を例にとると,「血管腫」または「hemangioma」という語句が病名に使用されているが実際はそれぞれ毛細血管や静脈の形態異常であり,自律性の細胞増殖である狭義の腫瘍とは性格が異なる。実際,「腫瘍」であれば増大あるいは消退する可能性があるが,単純性血管腫や海綿状血管腫は成長に比例した増大を示しつつ生涯存続するなど経過が異なる。にもかかわらず,脈管病変=すべて血管腫というイメージがあり,とりあえず「血管腫」と診断してその先の診断が曖昧なまま自然消退を期待したり,レーザー治療やβブロッカー投与が検討されたりするような混乱状態がまだまだ存在するため,各病変の疾患概念を整理する必要があった。
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