臨床講義
非症候性遺伝性縮毛症の病態
下村 裕
1
Yutaka SHIMOMURA
1
1山口大学大学院医学系研究科,皮膚科学講座,教授
キーワード:
縮毛症
,
ケラチン
,
LIPH
,
LPAR6
,
内毛根鞘
Keyword:
縮毛症
,
ケラチン
,
LIPH
,
LPAR6
,
内毛根鞘
pp.1593-1599
発行日 2018年9月1日
Published Date 2018/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000983
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
毛包は皮膚付属器の1つであり,成長期(anagen;毛髪が産生されて伸びる時期)→退行期(catagen;毛髪の産生が止まり毛包が退縮する時期)→休止期(telogen;毛包の下端が表皮にもっとも近づき,容易な刺激で毛髪が抜ける時期)から構成される毛周期を一生涯にわたって営むという特徴をもつ1)。成長期には,立毛筋が付着するバルジ(毛隆起部)に局在する毛包上皮幹細胞から盛んに娘細胞が毛母に供給される。そして,毛乳頭細胞から刺激を受けた毛母細胞が増殖し,毛髪および毛髪を取り囲む毛包の各細胞層へと分化していく(図1)2)3)。頭髪が1日に0.3~0.5mmものスピードで伸びることからも,毛母細胞がいかに活発に細胞分裂を繰り返しているかが想像できる。頭髪の成長期は2~6年なので,頭髪は1m程度(だいたい腰の高さ)まで伸びることができると計算される。なお,日本人の頭部毛包の毛球部は軽度曲がっているため,完全な直毛よりは若干ではあるがwavyな毛質を示す傾向がある。
Copyright © 2018, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.