特集 悪性上皮系腫瘍
表皮囊腫から二次性に発生した右臀部有棘細胞癌の1例
渡邊 総一郎
1
,
岩田 洋平
1
,
竹内 誠
2
,
沼田 茂樹
1
,
有馬 豪
1
,
神谷 里明
3
,
溝口 良順
4
,
黒田 誠
5
,
杉浦 一充
1
1藤田保健衛生大学,皮膚科学講座(主任:杉浦一充教授)、津島市民病院,皮膚科
2津島市民病院,皮膚科
3同,外科
4公立西知多総合病院,病理診断科
5藤田保健衛生大学,病理診断科
キーワード:
有棘細胞癌
,
二次発生
,
表皮囊腫
Keyword:
有棘細胞癌
,
二次発生
,
表皮囊腫
pp.1365-1369
発行日 2017年8月1日
Published Date 2017/8/1
DOI https://doi.org/10.18888/hi.0000000149
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49歳,女性。10年前に生じた右臀部皮下腫瘤に疼痛があり受診。既往に腎盂癌。初診時,6cm大・弾性硬の多房性皮下腫瘍で,MRI所見から表皮囊腫と診断した。経過中に感染を伴ったため切開・排膿を行い一旦改善したが,1カ月後に再燃したため全摘切除術を施行した。病理組織学的所見より表皮囊腫から発生した有棘細胞癌と診断された。全身CT から右鼠径リンパ節腫脹も認められた。右臀部の拡大切除および右鼠径リンパ節郭清術を施行したところ,20個中6 個にリンパ節転移あり。術後に化学療法・放射線治療を施行したが,術後10カ月で肺・腰椎転移が出現し2 カ月後に永眠した。表皮囊腫は日常診療において頻繁に遭遇する良性腫瘍であるが,まれに悪性化するため巨大なもの,炎症を繰り返すものなどでは,二次性有棘細胞癌の発症にも注意を要すると考えた。
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