特集 頭に入れておきたい 非炎症性視神経・視路疾患
5 非炎症性視路疾患
後藤 克聡
1
,
三木 淳司
1
1川崎医科大学眼科学1教室
キーワード:
視路疾患
,
視交叉
,
視索
,
両耳側半盲
,
同名半盲
,
経シナプス逆行性変性
Keyword:
視路疾患
,
視交叉
,
視索
,
両耳側半盲
,
同名半盲
,
経シナプス逆行性変性
pp.697-705
発行日 2025年8月5日
Published Date 2025/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004246
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眼内に入射した光刺激は視細胞で電気信号に変換され,双極細胞を介して網膜神経節細胞(retinal ganglion cell:RGC)へと伝達される。RGCの軸索である網膜神経線維は約120万本の集合体となり,視神経乳頭篩状板を貫通して視神経を形成する。その後,外側膝状体でシナプスを形成し,視放線を経て後頭葉の一次視覚野に視覚情報が投射される。網膜から一次視覚野に至る視路における病変の存在は,その障害部位に応じた特徴的な視野障害を呈するため,視野検査は視路疾患の局在診断において重要な役割を果たす。また,外側膝状体までの視路はRGCの軸索で構成されているため,この経路が障害を受けると,障害部位から末梢側への順行性変性や細胞体に向かう逆行性変性が生じ,視神経萎縮を引き起こす。これに伴う網膜内層構造の変化は,光干渉断層計(optical coherence tomograph:OCT)による乳頭周囲網膜神経線維層(circumpapillary retinal nerve fiber layer:cpRNFL)厚や黄斑部の網膜神経節細胞複合体(ganglion cell complex:GCC)厚を測定することで,客観的かつ定量的に評価できる。視路疾患の診断では,自覚的検査である視野検査に加え,OCTなどの他覚的検査を併用して評価することで局在診断の精度がさらに向上する。本稿では,視神経炎などの炎症性疾患を除いた非炎症性視路疾患について述べる。

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