機器・薬剤紹介
86.Vivinex Gemetric(HOYA)
中野 伸一郎
1
1龍ケ崎済生会病院眼科(茨城県)
pp.441-445
発行日 2025年5月5日
Published Date 2025/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000004149
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1つの眼内レンズ(intraocular lens:IOL)で近くも遠くも見えるようにする,この要求に応えるべく開発されたのが多焦点IOLである。IOLで多焦点性を得るためには工夫が必要であり,2025年1月現在,①一部を屈折度数の高い領域にする屈折型,②回折現象を用いて焦点を複数に分散する回折型,③レンズそのものを移動させることによって焦点距離を変化させる調節型などが実用化されている。明視域の広さ,瞳孔径の影響が少ないなどの利点から2025年1月現在,②の回折型が多焦点IOLの主流となっている。単焦点眼内IOLと同じ光学面積の中で多焦点性を得るためにはある程度のトレードオフも必要であり,回折型では,目的の焦点面以外の焦点像がデフォーカスされた形で見えてしまうことにより生じるハロー,グレアなどが主として問題となる。ハロー,グレアなどの光学不快現象を完全に消失させることは理論上,回折構造の多焦点IOLでは不可能であるが,実用的な範囲でなるべく光学不快現象を生じさせないよう,眼内レンズメーカー各社がそれぞれ工夫をこらした光学部設計を行っている。

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