今月の表紙
網膜有髄神経線維
長谷川 裕香
1
,
野崎 真世
1
,
坂本 泰二
2
1北海道大学病院
2鹿児島大学
pp.132
発行日 2018年2月15日
Published Date 2018/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212578
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症例は4歳,女児。3歳時健診で左眼の視力低下を指摘され前医を初診した。左眼に網膜有髄神経線維があり,視力不良のため精査加療目的にて当院を初診した。低年齢のため眼底の観察が困難であったが,視神経乳頭周囲から網膜血管上にかけて広範囲な網膜有髄神経線維がみられた。視力は右1.2,左0.09(0.5×−2.75D()cyl−0.50D 50°),シクロペントラート塩酸塩(サイプレジン®)点眼後の散瞳下屈折値は右+1.00D,左−2.50Dと不同視があり,光干渉式眼軸長測定装置(IOL Master®,Carl Zeiss Meditec社)では,右22.43mm,左24.42mmと眼軸長に左右差があった。斜視はなく,両眼視機能は良好であった。眼鏡装用と健眼遮蔽を継続し,初診から4年後の現在,健眼遮蔽を中止後も左眼矯正視力は1.0を得られている。
眼底写真はKOWA-VX10で撮影した。網膜有髄神経線維は白色の病変であり,眼底写真撮影時に病変部が白とびしやすい。そのためフラッシュ光量を調節し,病変部と正常部のコントラストのバランスを考慮ながら明瞭な画像が得られるよう注意した。また,小児であり固視が動きやすいため,声かけおよび固視灯にて誘導し,短時間で撮影を行った。
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