症例報告
霰粒腫として治療されていたメルケル細胞癌の1例
梅田 宗希
1
,
山田 布沙絵
1
,
小幡 博人
1
1埼玉医科大学総合医療センター眼科
キーワード:
メルケル細胞癌
,
眼瞼腫瘍
,
霰粒腫
,
Merkel cell carcinoma
,
eyelid tumor
,
chalazion
Keyword:
メルケル細胞癌
,
眼瞼腫瘍
,
霰粒腫
,
Merkel cell carcinoma
,
eyelid tumor
,
chalazion
pp.1507-1512
発行日 2024年11月5日
Published Date 2024/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003940
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
メルケル(Merkel)細胞癌は悪性度の高いまれな皮膚癌で,眼瞼悪性腫瘍のなかでも非常にまれである。高齢者の日光露光部にみられ,典型例は赤色~赤紫色のドーム状に隆起する結節性腫瘍である。今回我々は,霰粒腫として治療されていたメルケル細胞癌の症例を経験したので報告する。症例は56歳女性。半年前から左上眼瞼の霰粒腫として点眼薬や眼軟膏で治療されていたが徐々に増大したため当科へ紹介となった。初診時,左上眼瞼中央の瞼縁に,やや硬い赤紫色の隆起(横16mm×縦4mm)があり血管拡張を伴っていた。炎症性病変か腫瘍か判断に迷う所見であったが,ステロイド眼軟膏に反応しない病歴から生検を行った。病理検査の結果は,CK20陽性,CD56陽性,synaptophysin陽性,chromogranin A陽性でメルケル細胞癌と診断された。左上眼瞼の腫瘍切除とCutler-Beard法による再建を行った。本症例はメルケル細胞癌としては非典型的な所見であり,眼瞼縁に沿った緩やかな隆起性病変であった。眼瞼の赤い隆起性病変で薬物治療に反応しない場合,メルケル細胞癌を鑑別疾患として考えることが大切である。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.