特集 眼科外来診療 ―クリニックでの対応と紹介のタイミング―
Ⅳ 網膜硝子体 13 増殖前糖尿病網膜症の治療の見極め方
取出 藍
1
,
中尾 新太郎
1
1順天堂大学順天堂医院眼科
キーワード:
非増殖糖尿病網膜症
,
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF治療
,
レーザー光凝固
Keyword:
非増殖糖尿病網膜症
,
糖尿病黄斑浮腫
,
抗VEGF治療
,
レーザー光凝固
pp.1299-1304
発行日 2024年11月14日
Published Date 2024/11/14
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003884
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糖尿病では,高血糖により数年から数十年かけて,毛細血管瘤,網膜出血,硬性白斑,網膜浮腫などの網膜細小血管障害を初期病変として,糖尿病網膜症を発症する。糖尿病網膜症は初期の段階では視力低下を自覚することはほとんどない。しかし,病期の進行によって,眼内に新生血管や増殖膜の形成が起こると,新生血管の破綻による硝子体出血や,線維血管増殖膜による牽引性網膜剥離を生じ,著しく視力の低下をきたす。つまり糖尿病網膜症は慢性疾患であり,長期間の経過観察が重要となる。そして糖尿病患者は労働年齢層に多く,視機能低下による社会的損失は大きいため,増殖糖尿病網膜症(proliferative diabetic retinopathy:PDR)や糖尿病黄斑浮腫(diabetic macular edema:DME)への進行がハイリスクな患者を早期に見極め,適切な治療を行うことが,quality of vision(QOV)を維持するために重要となる。
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