眼科手術の適応―最新情報
8.網膜硝子体 15)未熟児網膜症のレーザー光凝固と手術
近藤 寛之
1
1産業医科大学眼科
キーワード:
未熟児網膜症
,
網膜剥離
,
血管内皮増殖因子
,
VEGF
,
aggressive posterior ROP
,
レーザー光凝固
Keyword:
未熟児網膜症
,
網膜剥離
,
血管内皮増殖因子
,
VEGF
,
aggressive posterior ROP
,
レーザー光凝固
pp.1301-1307
発行日 2017年9月30日
Published Date 2017/9/30
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000000178
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未熟児網膜症(retinopathy of prematurity:ROP)は低出生体重児にみられる眼底疾患であり,網膜剥離により失明や視力障害を生じる代表的な乳幼児眼底疾患である。その発症には生理的な網膜血管の形成が関与し,眼内での血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)などのサイトカインの発現が鍵となる1)。VEGF の過剰発現は新生血管や線維増殖を惹起し牽引性網膜剥離を起こす。未熟児網膜症の治療は網膜剥離の発症前のレーザー光凝固と網膜剥離発症後の手術に分けられる。どちらの治療を行っても眼内VEGF の産生が抑えられ,血管増殖の進行が阻止されることが重要なポイントである。近年,小児科医による全身管理,特に呼吸管理が改善され,レーザー光凝固を要する症例は減少する傾向がみられる。しかし,全身状態の著しく不良な症例では手術を要するリスクは高い。できる限り早期の治療を目指して,適切な治療法を選択することが視機能の保持につながる。また,近年抗VEGF 剤の硝子体内投与が行われるようになった。レーザー光凝固や手術との使い分けや併用も検討すべきであろう。
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