特集 眼科外来診療 ―クリニックでの対応と紹介のタイミング―
Ⅱ 白内障・屈折矯正 1 マルファン症候群の患者を経過観察する際の注意点
塙本 宰
1
1はねもと眼科(茨城県)
キーワード:
マルファン症候群
,
水晶体偏位
,
近視
,
遺伝性
,
結合組織疾患
Keyword:
マルファン症候群
,
水晶体偏位
,
近視
,
遺伝性
,
結合組織疾患
pp.1141-1144
発行日 2024年11月14日
Published Date 2024/11/14
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003854
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
マルファン症候群(Marfan syndrome:MFS)は,1896年に報告された,骨形成不全症に次いで2番目に多い遺伝性結合組織疾患である。常染色体優性遺伝であり,5,000人に1人の割合で発症し,約25%は散発的な変異によるものである。MFSは男女を問わず発症し,その主な原因はFBN1遺伝子の変異である1)。この遺伝子は,皮膚,血管,靱帯,さらには眼の水晶体を支えるフィブリリン1という蛋白質をコードしている。この糸状のフィラメントは,皮膚,靱帯,血管の伸縮を可能にする弾性線維を形成する。また,神経,筋肉,眼の水晶体を支えるZinn小帯の重要な構成要素でもある。フィブリリンは角膜基底膜,強膜,Zinn小帯線維に存在しており,これがMFSにおける多くの眼症状を引き起こす。特に,Zinn小帯が弱化することで水晶体亜脱臼が生じやすくなる。フィブリリン遺伝子内の変異の位置は,眼症状および全身症状の程度や重症度に重要な影響を与える2)。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.