特集 眼科外来診療 ―クリニックでの対応と紹介のタイミング―
Ⅰ 角結膜 8 早期と思われる翼状片患者を診る際の注意点
加瀬 諭
1
1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
キーワード:
翼状片
,
角膜形状解析
,
直乱視
,
不正乱視
Keyword:
翼状片
,
角膜形状解析
,
直乱視
,
不正乱視
pp.1113-1116
発行日 2024年11月14日
Published Date 2024/11/14
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003849
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
翼状片は主に鼻側から発生する眼表面の増殖組織である。発症年齢は中高年が多いが,20歳代の若年者でも発症する。早期の翼状片は角膜輪部に留まり,その後,瞳孔へ向かい増殖し,結果的には瞳孔を覆う1)。明らかな瞳孔閉鎖につながる症例は絶対的な手術適応であり,放置すると翼状片が原因で視力障害を伴う。他方,比較的早期の翼状片は,患者の主訴が軽微な視力低下,白目のしこりやおでき,赤み,充血という不定愁訴のようなことが多く,手術適応に関しては慎重な評価が必要である2)。しかし,瞳孔に影響のない段階の翼状片においても,潜在的に視力障害に関与する症例もあり,安易に手術を延期すべきではない症例も混在する。本稿では形態学的に瞳孔に及ばない翼状片の手術適応症例に関し,診断と治療のポイントについて述べたい。
Copyright © 2024, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.