臨床報告
翼状片術後にScedosporiumによる真菌性強膜炎を生じた1例
宮永 久美子
1
,
細谷 友雅
,
三村 治
1たつの市民病院 眼科
キーワード:
眼感染症-真菌性
,
強膜炎
,
眼科外科
,
網膜剥離
,
翼状片
,
Scedosporium
,
Voriconazole
,
黄斑浮腫
,
光干渉断層撮影
,
術後感染症
,
静脈内注入
,
眼内投与
Keyword:
Macular Edema
,
Infusions, Intravenous
,
Pterygium
,
Retinal Detachment
,
Ophthalmologic Surgical Procedures
,
Scleritis
,
Eye Infections, Fungal
,
Scedosporium
,
Tomography, Optical Coherence
,
Voriconazole
,
Administration, Ophthalmic
pp.893-898
発行日 2016年8月5日
Published Date 2016/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/J00293.2016400868
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症例は78歳女性で、数年前から時折右眼の痛みを自覚したが。右眼痛が増強し、強膜炎の診断で副腎皮質ステロイド薬(ステロイド)点眼液で加療したが改善しなかった。前房内に炎症細胞を認め、ステロイド加療に抵抗することから感染性強膜炎を疑い、ベタメタゾン点眼を0.1%フルオロメトロン点眼に変更し、1.5%レボフロキサシン点眼、セフメノキシム点眼を追加した。翌日、右眼からの出血と疼痛を訴えた。石灰化病変が瞬目により動き、周辺の結膜を傷つけ出血し、疼痛が増悪したと判断し、石灰化病変を切除した。初診から12日後、4時方向の周辺部角膜実質に細胞浸潤が出現し、依然として前房内炎症細胞を認めた。石灰化病変切除後の強膜は菲薄化し、結膜上皮欠損も広範囲に認めた。ステロイド加療を中止し、抗菌薬点眼投与を開始したが治療反応に乏しかった。その後、眼脂培養からScedosporiumを検出し、ボリコナゾール点滴・点眼治療に変更した。角膜浸潤の改善を認め、前房内の細胞も消失した。その後数ヵ月は経過良好であったが、視力低下を認めた。光干渉断層計検査で、黄斑浮腫を認めた。現在黄斑浮腫は改善傾向にあり、前眼部も軽快傾向にある。
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