特集 翼状片手術:私はこうしている
3 私はこうしている「有茎結膜弁移植,わたしはこうしている」
加瀬 諭
1
1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
キーワード:
翼状片
,
有茎結膜弁
,
縫合
,
出血
,
止血
,
手術
Keyword:
翼状片
,
有茎結膜弁
,
縫合
,
出血
,
止血
,
手術
pp.213-219
発行日 2021年3月5日
Published Date 2021/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002054
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翼状片は主として眼表面の鼻下側から発生する増殖組織であり,増殖に伴い直乱視をきたしたり,角膜中央の平坦化による遠視化をきたしたりすることで視力低下の原因となる。翼状片は組織学的には扁平上皮化生を伴う重層円柱上皮と上皮下組織(間質)よりなる。間質には線維芽細胞,リンパ球,肥満細胞浸潤を主体とする炎症細胞浸潤,新生血管がみられる。翼状片の病理学的研究により,血管新生因子である血管内皮増殖因子(VEGF)-Aの発現が亢進し血管新生がみられ,他方VEGF-Cの発現亢進によりリンパ管新生もみられる。これらの研究結果により,翼状片に対して近年抗VEGF局所治療が試行されてきたが依然一般的な薬物治療はなく,今日においても手術療法が確立された治療法である。翼状片手術は増殖組織の処理と眼表面の再建,と定義することができ,再建法は有茎結膜弁移植と遊離移植の2つに大別することが可能である。本稿では,翼状片手術・有茎結膜弁移植について筆者の経験を中心に概説する。
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