症例報告
結膜下にみられた異所性涙腺組織の1例
坪田 欣也
1
,
小松 紘之
1
,
谷川 真希
2
,
長尾 俊孝
2
,
後藤 浩
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
2東京医科大学人体病理学分野
キーワード:
異所性涙腺組織
,
結膜腫瘤
,
前眼部光干渉断層計
,
病理
Keyword:
異所性涙腺組織
,
結膜腫瘤
,
前眼部光干渉断層計
,
病理
pp.1043-1048
発行日 2024年10月5日
Published Date 2024/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003811
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異所性涙腺組織は結膜,眼窩,眼瞼,眼内,内眼角,鼻粘膜などに腫瘤の形成をきたす,非常にまれな疾患である。今回我々は,結膜下に異所性涙腺組織がみられた症例を経験したため,病理組織所見とともに報告する。症例は31歳女性,国籍はタイ王国。幼少期より右眼の結膜に腫瘤性病変が存在していた。腫瘤の増大はみられないものの,治療希望のため近医から東京医科大学病院眼科を紹介受診となった。右眼角膜輪部の2時方向の結膜下に直径2mm程度の桃色調の腫瘤がみられた。異物感等の症状はなかったが,本人の希望に沿って外科的に摘出術を施行した。周囲結膜組織との癒着はほとんどみられず,強膜側の根部から腫瘤を切除し,腫瘤摘出後に結膜を縫合し手術終了とした。腫瘤が接していた部分の強膜は菲薄化しており,腫瘤の一部が強膜内にも存在していた。病理組織学的に腫瘤は腺管構造を伴っており,lysozyme(+),p63(+),calponin(+),α-SMA(+),AE1/AE3(+),EMA(+)の免疫染色の結果と併せ,異所性涙腺組織と診断した。術後の前眼部光干渉断層計では腫瘤がみられた部位に一致して強膜内の低輝度所見がみられ,涙腺組織の残存が想定されたことから,再発等を念頭に慎重な経過観察が必要と考えられた。
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