手術のコツとトラブルシューティング:屈折矯正手術編
2.後房型有水晶体眼内レンズ
神谷 和孝
1
1北里大学医療衛生学部視覚生理学
pp.1035-1041
発行日 2024年10月5日
Published Date 2024/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003810
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有水晶体眼内レンズは,LASIK手術と比較して高い安全性・有効性だけでなく,術後視機能の優位性が注目されている1)。個体差の大きい角膜創傷治癒反応を受けにくく,安定性や予測性も極めて良好である。高価なレーザー装置も不要であり,白内障手術に習熟したサージャンであれば手術手技も難しくない。瞳孔面における矯正は理論上最も優れた方法であり2),強度近視だけでなく中等度近視にまで適応が拡大しつつある3)4)。実際に国内におけるLASIK手術需要は大幅に減退しており,代わって後房型有水晶体眼内レンズ(Visian ICLTM, STAAR Surgical社)が台頭している5)6)。社会全体としての認知度も高まったことも重なって,唯一ICL手術だけが抜きん出て増加しており,現在の国内市場を席巻しているといっても過言ではない。手術手技は,レーシックより白内障手術に近く,白内障手術のスキルを活かすことが可能である。日本で独自に開発され,世界的な普及に至った新たなテクノロジーであり,次世代のプラットフォームとしての地位を確立しつつあり,今後さらなる普及が期待されている。
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