増刊号 7年前の常識は現在の非常識!—眼科診療の最新標準
1.屈折/調節の異常・白内障
Special Lecture
有水晶体眼内レンズの最新動向
神谷 和孝
1
1北里大学医療衛生学部視覚生理学
pp.50-52
発行日 2018年10月30日
Published Date 2018/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410212875
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はじめに
有水晶体眼内レンズは,レンズの固定位置によって前房型(隅角支持型,虹彩支持型)と後房型(毛様溝固定型)に分類されるが,2015年の日本白内障屈折矯正手術学会による多施設共同研究の結果では,後房型有水晶体眼内レンズ〔implantable collamer lens(ICL)またはphakic IOL〕(Visian ICL:STAAR Surgical社)の使用がすでに96%となっており,現在ではほぼ後房型に移行している1)。2010年2月2日に厚生労働省より正式に認可を受けた。レーシックに比較して,安全性・有効性が高いだけでなく術後視機能の優位性が報告されている2)。その一方,ICLの問題点として術後白内障の発症や瞳孔ブロック予防を目的とした術前レーザー虹彩切除の必要性があった。
これらの問題を解決すべく,清水らは世界に先駆けてレンズ中央部に直径0.36mmの貫通孔を有する有水晶体眼内レンズ(hole ICL,KS-AP)を開発し,今や同レンズが市場を席捲しつつある。本稿では,最新世代の有水晶体眼内レンズであるhole ICLの臨床成績,適応拡大へ向けた取り組みや今後の展開について紹介したい。
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