特集 眼科診療:5年前の常識は,現在の非常識!
1 屈折・調節の異常,白内障
スペシャルレクチャー
有水晶体眼内レンズ
神谷 和孝
1
1北里大学医学部眼科学教室
pp.80-82
発行日 2011年10月30日
Published Date 2011/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410103913
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後房型有水晶体眼内レンズの有用性
後房型有水晶体眼内レンズ(phakic IOL:Visian ICLTM:STAAR Surgical社)は2010年2月2日に厚生労働省より正式に認可を受けた。これまで屈折矯正手術のスタンダードであるlaser in situ keratomileusis(LASIK)に比較して,高い安全性・有効性だけでなく,術後視機能の優位性が報告1,2)されている。
理由としては,第1にLASIKは角膜中央部の切除により,prolateからoblateへの角膜形状変化に伴い球面収差が増加することや,フラップ作製や照射ずれによりコマ収差が増加すること,第2にphakic IOLでは瞳孔面上で矯正を行うため,網膜像の倍率変化を生じにくいことが考えられる。角膜創傷治癒反応も受けにくいため,予測精度・安定性も極めて良好であり3),もちろん調節力も温存可能である4)。当初,高度近視における屈折矯正方法として注目されていたが,中等度近視まで適応が拡大しつつある。また,新たな治療法として非進行性円錐角膜5),ペルーシド角膜変性症6)やLASIK・放射状角膜切開術(radial keratotomy:RK)後の屈折異常7,8)に対する有用性も報告されている(ただし,現在,円錐角膜や他の屈折矯正手術歴のある患者は適応外とされている)。
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