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滲出型(新生血管型)加齢黄斑変性(AMD)に対する薬剤は,2023年10月時点でラニビズマブ(ルセンティスⓇ,バイオ後発品のラニビズマブBS),アフリベルセプト(アイリーアⓇ),ブロルシズマブ(ベオビュⓇ),ファリシマブ(バビースモⓇ)がある。ラニビズマブは血管内皮増殖因子(VEGF)ファミリーであるVEGF-Aに対する抗体の抗原結合性フラグメント(fragment antigen-binding:Fab)を断片化し製剤化した薬剤である。ブロルシズマブは,ラニビズマブ同様,VEGF-Aに対する抗体の可変領域のみを断片化かつ一本鎖化し,薬剤の性質上高濃度化が可能となったことで,ラニビズマブのモル投与量を1とした場合ブロルシズマブのモル投与量は22と高い濃度での硝子体注射が可能となった1)。一方,アフリベルセプトはVEGFとVEGF受容体の結合を利用してVEGFを捕捉する薬剤である。VEGF受容体1および2の細胞外ドメインの一部を融合させた形態をとり,VEGF-AだけでなくほかのVEGFファミリーであるVEGF-Bおよびplacental growth factor(PlGF)とも結合する。投与量は,モル数で換算するとラニビズマブのおよそ2倍を投与している。アフリベルセプトのVEGF-Aとの結合親和性(結合の強さの指標)は,ラニビズマブやブロルシズマブとVEGF-Aとの結合親和性より強いことがin vitroで示されており,高い効果が期待されている2)。さらに,2022年に登場したファリシマブは,VEGF-Aに対する抗体とangiopoietin-2に対する抗体を融合させた製剤である。Angiopoietin-2の働きを阻害することで血管の恒常性維持や血管新生,血管透過性亢進の制御が期待されており,VEGF-Aと同時に阻害することでVEGF-Aの単独阻害よりも高い効果が期待できる。モル投与量はラニビズマブの4倍である。これらのどの薬剤も,投与しても滲出性変化が消失しない治療抵抗例は存在する。その場合は,薬剤の変更を考慮する。
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