特集 知っておきたい 眼科処置・手術の合併症対策と予防
Ⅱ 白内障・屈折矯正 1 角膜形状異常眼への白内障手術(円錐角膜・LASIK後)
神谷 和孝
1
1北里大学医療衛生学部視覚生理学
pp.949-954
発行日 2023年10月5日
Published Date 2023/10/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003290
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円錐角膜は角膜の前方突出と菲薄化によって視機能が著しく低下するが,白内障の発症も早く,加齢とともに白内障手術を必要としやすい。さらに,角膜屈折力分布が均一でなく,角膜後面形状も負の屈折力が大きく,正確に角膜屈折力を計測することが容易ではない。したがって,円錐角膜における眼内レンズ(IOL)度数計算は難易度が高く,予測性は低い1)。また,国内におけるLASIK手術の件数は大幅に減少しているが,それでもなお年間1万件近く増加し続け,患者は確実に年齢を重ねている。LASIK後の白内障手術は通常より適応が早く,今後白内障手術を受けるLASIK後患者に遭遇することは想像に難くない。LASIK後のIOL度数計算はもともと予測性が低いが,もし非施行眼と考えてしまい通常通りIOL度数計算を行うと,ほぼ確実にリフラクティブサプライズを生じる2)。本稿では,白内障手術後の屈折誤差を生じやすい代表的な疾患として,円錐角膜およびLASIK後の2つを取り上げて,屈折誤差の要因やIOL度数計算の実際について概説したい3)。
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