マルチモーダルイメージングによる眼科疾患の診断と病態解明
8.傍乳頭網膜血管芽腫のマルチモーダルイメージング
加瀬 諭
1
,
三田村 瑞穂
1
1北海道大学大学院医学研究院眼科学教室
pp.747-751
発行日 2023年8月5日
Published Date 2023/8/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003218
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網膜血管芽腫は病理学的には泡沫状の胞体を有する未分化な腫瘍細胞と微小血管が混在した組織を呈する1)。このため,毛細血管腫や海綿状血管腫とは組織構築は異なり,別の腫瘍であるという認識が必要である。加えて腫瘍細胞はエリスロポエチン受容体や種々のケモカイン受容体の発現も確認され,未分化な形質が明らかであり,悪性腫瘍のように転移をするような形質はないにしても,視力を脅かす合併症を伴う。実際,治療が奏効しない場合には,硝子体界面に増殖性変化を伴い,硝子体出血や牽引性網膜剥離,ひいては血管新生緑内障へと進展し,失明に至る。網膜血管芽腫は,癌抑制遺伝子VHLの不活化を原因とするvon Hippel-Lindau病(VHL病)に伴う場合と,背景に全身疾患のない患者に発生する孤発性とがある。腫瘍は視神経やその近傍に発生する傍乳頭型と,アーケード内や周辺の網膜に発生する周辺型に分類される。本稿では,前者の傍乳頭網膜血管芽腫について解説する。
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