症例報告
脈絡膜母斑から悪性転化し17年後に脈絡膜悪性黒色腫と診断された1例
岡橋 英里香
1
,
橋田 徳康
1
,
丸山 和一
1
,
北口 善之
1
,
西田 幸二
1
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経感覚器外科学(眼科学)
キーワード:
眼腫瘍
,
脈絡膜悪性黒色腫
,
脈絡膜母斑
,
悪性転化
,
マルチモーダルイメージング
,
ocular tumor
,
choroidal melanoma
,
choroidal nevus
,
malignant transformation
,
multimodal imaging
Keyword:
眼腫瘍
,
脈絡膜悪性黒色腫
,
脈絡膜母斑
,
悪性転化
,
マルチモーダルイメージング
,
ocular tumor
,
choroidal melanoma
,
choroidal nevus
,
malignant transformation
,
multimodal imaging
pp.291-298
発行日 2023年3月5日
Published Date 2023/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000003062
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脈絡膜悪性黒色腫の発生母地として,脈絡膜母斑,先天性眼メラノーシス,太田母斑などが知られている。今回,脈絡膜母斑から悪性転化し,17年後に脈絡膜悪性黒色腫と診断された1例を経験したので報告する。症例は68歳男性。X-17年,高血圧性眼病変精査目的に当院を受診した際,右眼に脈絡膜母斑を認めたが,自己都合により受診が途絶えていた。X年,右眼の視野障害を自覚し当院を再診した。右眼視力(0.3),左眼視力(1.5)。右眼網膜に黒色の約7乳頭径大の色素性腫瘍を認めた。OCTで腫瘤の周囲に網膜剥離を認めた。超音波Bモードで腫瘤内部は充実性で中等度の輝度を示し,腫瘍の大きさは腫瘍径10.5mm,厚み8mmであった。FAで初期低蛍光,後期に色素上皮障害による蛍光漏出がみられ,IAでは初期・後期とも低蛍光であった。123I-IMP SPECTでは腫瘤に一致してIMPの集積を認めた。画像所見・臨床所見より脈絡膜悪性黒色腫と診断した。腫瘍の増大傾向と硝子体にも褐色色素を伴った細胞の播種を認め,インフォームド・コンセントのうえ,右眼球摘出を施行した。病理検査におけるMelan A陽性・S-100陽性の組織像より悪性黒色腫と確定診断された。術後4年経過した現在も,転移巣なく経過を観察している。どのタイミングで悪性化するのか不明であるが,脈絡膜母斑は長期経過のなかでまれではあるものの悪性黒色腫に転化する可能性があるため,マルチモーダルイメージングを用いた定期的な経過観察が必要である。
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