臨床報告
10代の若年女性に発症した脈絡膜悪性黒色腫の2例
藤井 リラ
1
,
後藤 浩
1
,
川上 摂子
1
1東京医科大学臨床医学系眼科学分野
キーワード:
脈絡膜悪性黒色腫
,
若年発症
,
治療
,
choroidal melanoma
,
young age onset
,
treatment
Keyword:
脈絡膜悪性黒色腫
,
若年発症
,
治療
,
choroidal melanoma
,
young age onset
,
treatment
pp.525-532
発行日 2019年5月5日
Published Date 2019/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001173
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要 約
背景
本邦では脈絡膜悪性黒色腫はまれな眼疾患であるが,なかでも若年者の症例は極めて少ない。今回,10代の脈絡膜悪性黒色腫を相次いで経験したので報告する。
症例
症例1は14歳の女性。左眼眼底の耳側に淡い茶褐色を呈する隆起性病変を認めたが,矯正視力は1.5であった。MRI,123I-IMP SPECT検査の結果等から悪性黒色腫と診断,重粒子線治療を施行した。視力は10cm手動弁まで低下したが,治療後3年2か月経過した現在まで再発や転移は認めていない。
症例2は17歳の女性。左眼眼底の耳側に茶褐色の隆起性病変を認めた。矯正視力は0.3で,諸検査の結果から脈絡膜悪性黒色腫と診断,重粒子線治療を施行した。治療終了後,まもなく網膜全剥離の状態となり,激しい眼痛と難治な眼圧上昇をきたした。網膜剥離の消失後,網膜光凝固を施行,眼痛は消失したが,視力は光覚なしとなった。 治療後1年6か月経過した現在まで,再発や転移はみられない。
結論
若年女性に生じた脈絡膜悪性黒色腫の2例について報告した。 重粒子線治療が奏効し,他臓器転移もきたしていないが,若年であることから今後も長期間の経過観察が必要である。
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