綜説
緑内障性視神経症と近視性視神経症─類似点と相違点
竹本 大輔
1
,
東出 朋巳
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系眼科学
キーワード:
緑内障性視神経症
,
近視性視神経症
,
乳頭耳側リッジ
,
後天性乳頭ピット
,
コーヌスピット
,
intrachoroidal cavitation
Keyword:
緑内障性視神経症
,
近視性視神経症
,
乳頭耳側リッジ
,
後天性乳頭ピット
,
コーヌスピット
,
intrachoroidal cavitation
pp.1065-1071
発行日 2022年11月5日
Published Date 2022/11/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002856
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近視眼底の評価は,眼科医にとって長年にわたる課題であったが,光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)の登場とその性能向上が大きな推進力となり,近視性の黄斑部網脈絡膜疾患の理解がここ15年程度で劇的に進んだ。その一方で,病的近視眼を10年以上経過観察すると網脈絡膜病変では説明がつかないような視野異常が13.2%で出現することが2011年に大野らによって報告され1),近視眼底における視神経評価について着目されるようになった。OCTによって観察された視神経乳頭およびその周囲のさまざまな近視性構造異常と視野障害との関連が報告されたことにより,緑内障とは異なる近視性構造変化による視神経障害の機序が想定され,近視性視神経症(myopic optic neuropathy:MON)という病態概念が提唱された。また,近視眼底における緑内障評価の場においても,OCTを活用することによって有用な診断補助情報を得ることができるようになった。このように,近視眼底における視神経の評価は,黄斑疾患に比べるとまだ進捗が遅れていると言わざるを得ないものの,知見は着実に蓄積されてきており,現在その理解が進みつつある。
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