症例報告
視力予後が不良であった視神経周囲炎の1例
長岡 広祐
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
特発性眼窩炎症
,
視神経周囲炎
,
idiopathic orbital inflammation
,
optic perineuritis
Keyword:
特発性眼窩炎症
,
視神経周囲炎
,
idiopathic orbital inflammation
,
optic perineuritis
pp.885-890
発行日 2022年9月5日
Published Date 2022/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002782
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
視力予後が不良であった視神経周囲炎を報告する。46歳女性が3日前からの左眼視力低下と前日からの左眼眼痛を主訴に受診した。初診時の左眼視力は手動弁で,視野検査ではイソプタができない状態であった。頭部MRIのガドリニウム造影T1強調画像で,左視神経周囲に高信号が観察され,周囲の筋円錐内脂肪織にも造影増強効果がみられ,視神経周囲炎と診断した。さらに,左眼窩先端部に占拠性病変を疑わせる所見を認めた。初診3日後,左眼の視力が光覚なしに低下したため,ステロイドパルス療法を3クール施行した。治療により,眼窩先端部の病変は縮小し,周辺視野の改善はあったが,中心暗点は残存,視神経萎縮が進行し,視力は0.02にとどまった。本症例では,視神経周囲炎から視神経への炎症の波及,ステロイド治療開始までに時間を要したこと,眼窩先端部に病変がみられたことが視力予後不良の原因と推測した。
Copyright © 2022, KANEHARA SHUPPAN Co.LTD. All rights reserved.