私の経験
白内障周術期にERGで発見された網膜変性疾患の2症例
今居 一輝
1
,
安田 慎吾
1
,
荻野 顕
2
,
石川 伸之
1
,
西 晃佑
1
,
岩西 宏樹
1
,
住岡 孝吉
1
,
雑賀 司珠也
1
1和歌山県立医科大学眼科学講座
2日本赤十字社和歌山医療センター眼科(和歌山市)
キーワード:
網膜電図
,
ERG
,
RETeval
,
白内障
,
網膜変性疾患
,
先天停止性夜盲
,
網膜色素変性
Keyword:
網膜電図
,
ERG
,
RETeval
,
白内障
,
網膜変性疾患
,
先天停止性夜盲
,
網膜色素変性
pp.697-702
発行日 2022年7月5日
Published Date 2022/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002704
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白内障周術期に網膜電図(electroretinogram:ERG)の所見から杆体機能の異常を指摘された2症例を経験した。症例1では他院での白内障手術後の視力不良の原因検索としてERGが行われ,右眼はsubnormal ERGで左眼は陰性型であった。錐体ERGの軽度減弱に加えて,杆体ERGはほぼ消失しており,先天停止性夜盲を疑う網膜疾患を認めた。症例2では白内障術前検査での光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)所見で網膜の菲薄化を認め,ERGで両眼ともsubnormal ERGがみられた。錐体ERGは比較的保たれている一方で杆体ERGの著しい減弱を認めており,初期の網膜色素変性疑いと診断した。白内障患者では眼底に網膜変性疾患が隠れている可能性があり,術後の視力不良,視野異常などによる患者とのトラブルを避けるため,近視のない豹紋状眼底や網膜の菲薄化がみられた場合はERGを追加検査することが望ましいと思われる。
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