特集 生理機能検査を使いこなす─最近の考え方─
5 多局所ERG
島田 佳明
1
1藤田医科大学岡崎医療センター眼科
キーワード:
electroretinogram
,
ERG
,
multifocal electroretinogram
,
multifocal ERG
,
mfERG
,
retina
,
網膜電図
,
多局所網膜電図
,
網膜
Keyword:
electroretinogram
,
ERG
,
multifocal electroretinogram
,
multifocal ERG
,
mfERG
,
retina
,
網膜電図
,
多局所網膜電図
,
網膜
pp.851-857
発行日 2021年9月5日
Published Date 2021/9/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002256
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多局所ERG(multifocal electroretiongram:multifocal ERG,mfERG,多局所網膜電図)は,Sutterが1989年に米国特許を取得した網膜部位反応マップ(retinal area response mapping)を,ERGの一種と捉えて用いるようになった名称である1)。後極部網膜の多数の網膜局所のERG(局所ERG)が同時に記録され,ERGのbreakthroughになった。臨床的に重要な黄斑部のERGが得られることに加え,病変のある網膜領域とない領域のERGの比較,ERGの反応分布の表示など,幅広い応用を可能にした(図1)。最も普及した国/地域といわれた本邦では,2010年に診療報酬点数表に収載され,成熟した臨床検査になっている。しかし成功から四半世紀を経て,同時期に現れた光干渉断層計(OCT)が,改良により有用性や対象疾患を増大しているのに対して,多局所ERGは老朽化した記録装置を更新しても,記録の手間や得られる情報がほぼ変わっておらず,適応の拡大も限定的である。また,散瞳,表面麻酔,コンタクトレンズ電極装用,屈折矯正,瞬目抑制等々が求められる多局所ERGは,検者・被検者の負担が大きい,煩瑣な検査とみる傾向が強まった。記録の効率化,負担軽減は多局所ERGの課題である。
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