特集 昨今の神経眼科の話題――神経眼科の進歩
2 眼球運動
鈴木 康夫
1
1手稲渓仁会病院 眼窩・神経眼科センター(札幌市)
キーワード:
眼窩プーリー
,
サギングアイ症候群
,
眼窩窮屈症候群
,
Listingの法則
,
半角則
,
synergy(シナジー)
Keyword:
眼窩プーリー
,
サギングアイ症候群
,
眼窩窮屈症候群
,
Listingの法則
,
半角則
,
synergy(シナジー)
pp.613-619
発行日 2022年7月5日
Published Date 2022/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002693
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脳幹部,小脳,大脳に広がる眼球運動の発現・制御機構の概要は,20世紀後半からの脳科学研究の進歩に伴い明らかにされた。その過程で,対象となる眼球運動も水平のみの一次元視線移動から,網膜座標に対応した二次元,さらには,視軸周りの回旋を含めた三次元へと拡張されてきた。しかし,19世紀に残像法によって提唱されたDondersの法則1)とListingの法則2)注1)は,「眼球が解剖学的に持つ三次元の自由度が前庭入力の変動がない場合には二次元に減じていること」を示唆する重要な法則であるが,眼球運動を視線移動(直線ベクトル)ではなく「眼球の回転」として評価する必要があるため,視線移動を単純に三次元化する研究手法ではその正しさを示すことはできなかった。これらの法則の正しさが認められたのは,眼球運動を三次元の回転(回転ベクトル3),四元数4))として高精度で記録,解析することが行えるようになった1980年代以降である注2) (図1)。
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