特集 耳鼻咽喉科の機能検査マニュアル
2.平衡機能検査
[2]異常眼球運動検査
伊藤 壽一
1
1大津赤十字病院耳鼻咽喉科
pp.95-101
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1411900811
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はじめに
めまい・平衡障害を訴える患者の検査には,外来診察室で簡単に行える第一次平衡機能検査と,特殊な機械を用いて検査室で行う第二次平衡機能検査がある。第一次平衡機能検査とは,一般には外来の診察室または平衡機能検査用の部屋にて簡単な器機を用いて行う検査である。コンピュータを使用した複雑な機械を用いた検査やCT,MRIなどの画像診断に比べ,病巣の詳細な診断などに関しては劣るのは当然であるが,ていねいな問診と合わせて検討すればかなり正確な障害部位診断が可能であり,第二次平衡機能検査を行うかどうかのスクリーニングにも役立つ。異常眼球運動を検査する第一次平衡機能検査としては,表1のように,自発眼振検査,注視眼振検査,頭位眼振検査,頭位変換眼振検査,頭振眼振検査,視運動性眼振検査(manual OKN test),追跡眼球運動検査(manual ETT)などがあり,第二次平衡機能検査としては,電気眼振計(electronystagmograph:ENG)を用いた検査が主になる。ENGを用いた検査に関しては他項で詳細な解説があると思われるので,本項では簡単な器機を用いた第一次平衡機能検査(簡易平衡機能検査)について解説する。
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