症例報告
光干渉断層計により神経節細胞複合体厚および乳頭周囲網膜神経線維層厚の菲薄化がみられた外傷性視神経症の1例
橋本 悠人
1
,
牧野 伸二
1
1自治医科大学眼科学講座
キーワード:
外傷性視神経症
,
光干渉断層計
,
神経節細胞複合体厚
,
乳頭周囲網膜神経線維層厚
,
traumatic optic neuropathy
,
optical coherence tomography
,
ganglion cell complex thickness
,
circumpapillary retinal nerve fiber layer thickness
Keyword:
外傷性視神経症
,
光干渉断層計
,
神経節細胞複合体厚
,
乳頭周囲網膜神経線維層厚
,
traumatic optic neuropathy
,
optical coherence tomography
,
ganglion cell complex thickness
,
circumpapillary retinal nerve fiber layer thickness
pp.281-286
発行日 2022年3月5日
Published Date 2022/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002541
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光干渉断層計(OCT)を用いて,神経節細胞複合体(GCC)厚および乳頭周囲網膜神経線維層(cpRNFL)厚の経時的な菲薄化が観察された外傷性視神経症を報告する。
65歳男性が転落し,右前頭部を打撲し,右眼の視力低下のため受診した。視力は0.07で,Goldmann視野検査では中心5°以内に絶対暗点があり,Mariotte盲点の拡大につながるラケット状暗点がみられた。頭部CTでは右眼上眼窩裂外側壁骨折を認めたが,視神経管骨折はなかった。右眼外傷性視神経症と診断し,ステロイドパルス療法を施行した。受傷2週後からOCTを用いて,GCC厚およびcpRNFL厚を経時的に記録した。受傷2週後の平均GCC厚は右眼101.3μm,左眼112μmであった。以降,右眼平均GCC厚は受傷2~7週後の間で最も減少し,全周性に菲薄化が進行した。同様に,受傷2週後の平均cpRNFL厚は,右眼91μm,左眼101μmであった。以降,右眼平均cpRNFL厚は受傷2~7週後の間で最も減少し,7週後には耳側の菲薄化を認め,経過とともに菲薄化が進行した。視力は0.9まで改善したが,平均GCC厚,平均cpRNFL厚は僚眼と比較して,それぞれ63%,61%まで低下した。外傷性視神経症の経過観察にOCTを用いることで,視力改善とは乖離して,GCC厚,cpRNFL厚の菲薄化が進行することが明らかになった。
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