私の経験
アシナガバチによる角膜蜂刺症の1例
三原 現
1
,
山本 裕樹
1,2
,
鷲尾 紀章
1
,
井上 賢治
3
,
天野 史郎
4
1公立昭和病院眼科(小平市)
2東京都健康長寿医療センター眼科(東京都板橋区)
3井上眼科病院(東京都千代田区)
4お茶の水・井上眼科クリニック(東京都千代田区)
キーワード:
角膜蜂刺症
,
アシナガバチ
,
角膜内皮細胞密度減少
,
結膜下注射
,
角膜浮腫
,
Descemet膜皺襞
Keyword:
角膜蜂刺症
,
アシナガバチ
,
角膜内皮細胞密度減少
,
結膜下注射
,
角膜浮腫
,
Descemet膜皺襞
pp.291-295
発行日 2022年3月5日
Published Date 2022/3/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002543
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角膜蜂刺症はまれな疾患ではあるが,水疱性角膜症等の重篤な症状を引き起こすことがあり,薬物療法や外科的治療が行われる。今回われわれは,アシナガバチによる角膜蜂刺症に対し保存的治療のみで軽快した症例を経験したので報告する。
症例は53歳男性,アシナガバチに左眼を刺され近医眼科を受診した。眼瞼浮腫,著明な角膜浮腫を認め,レボフロキサシンおよびベタメタゾン点眼,プレドニゾロン内服を処方されたが翌日角膜浮腫が悪化し,当科へ紹介受診となった。初診時,左眼視力は(0.02)で,結膜・毛様充血,角膜のびまん性浮腫,Descemet膜皺襞,軽度の前房内炎症を認めた。ステロイドの点眼・結膜下注射および内服の増量を行ったところ症状は徐々に改善し,視力は(1.2)となった。その後炎症の再燃はみられなかったが,角膜内皮障害が残存した。
アシナガバチによる角膜蜂刺症に対し,保存的治療を開始するも増悪傾向であったが,治療の強化により外科的治療を要することなく症状の改善が得られた。本症例のように蜂の種類が特定できている場合は,外科的治療ではなく保存的治療の強化も選択肢となり得ると考えられた。
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