症例報告
白内障手術中に急性術中ロックハードアイ症候群をきたした1例
篠原 未紗
1
,
小野 萌
1
,
小暮 千桜
1
,
福田 佳子
1
,
長谷部 優花
1
,
菊島 渉
1
,
柏木 賢治
1
1山梨大学医学部眼科学講座
キーワード:
急性術中ロックハードアイ症候群
,
術中浅前房
,
白内障手術
,
fluid misdirection syndrome
,
acute intraoperative rock-hard eye syndrome
,
cataract surgery
Keyword:
急性術中ロックハードアイ症候群
,
術中浅前房
,
白内障手術
,
fluid misdirection syndrome
,
acute intraoperative rock-hard eye syndrome
,
cataract surgery
pp.163-166
発行日 2022年2月5日
Published Date 2022/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002499
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前眼部手術中に人工房水が後眼部へ迷入することで硝子体圧が上昇し,急激な浅前房化と眼圧上昇をきたす急性術中ロックハードアイ症候群(acute intraoperative rock-hard eye syndrome:AIRES)の症例を経験したため報告する。
症例は83歳,女性。前医で右眼白内障手術を受けたがハイドロダイセクションの際に急激な前房消失・眼圧上昇を認め,駆逐性出血の可能性も考慮し閉創のうえ緊急で当科を受診した。当科初診時右眼は眼圧高値で前房は消失しており,Bモードで明らかな血腫や網膜剥離は認めず,同日水晶体摘出を行う方針とした。高分子量粘弾性物質の注入により前房形成が可能であったため,そのまま超音波水晶体乳化吸引術,眼内レンズ嚢内固定を型通り施行し,右眼の術後視力は(1.2)と良好であった。
術中浅前房の原因は多岐にわたるが,特に眼圧上昇を伴い急激な浅前房化を認めた場合はAIRESの可能性がある。本例ではAIRESの危険因子である偽落屑物質を認め,短眼軸・小眼球でもありAIRESのリスクは高い症例であったと考えられる。既報ではAIRESの予後は良好であり,本例も適切な対応により良好な術後視力を得られた。
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