症例報告
成人での単純ヘルペスウイルス初感染が疑われた両眼性角膜ヘルペスの1例
鈴木 杏奈
1
,
戸所 大輔
1
,
高山 真祐子
1
,
秋山 英雄
1
1群馬大学大学院医学系研究科 脳神経病態制御学講座 眼科学
キーワード:
角膜ヘルペス
,
単純ヘルペスウイルス
,
初感染
,
両眼性
,
ペア血清
Keyword:
角膜ヘルペス
,
単純ヘルペスウイルス
,
初感染
,
両眼性
,
ペア血清
pp.167-171
発行日 2022年2月5日
Published Date 2022/2/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002500
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角膜ヘルペスは片眼性が多く,両眼性は少ない。今回我々は,免疫不全のない成人に両眼性の角膜ヘルペスを発症し,単純ヘルペスウイルス(HSV)初感染が疑われた1症例を経験した。患者はコンタクトレンズ装用歴のある26歳女性。発熱,全身倦怠感,両眼の疼痛,流涙があり,紹介受診した。両下眼瞼の水疱および両眼の結膜充血,角膜周辺部に樹枝状角膜潰瘍を認めた。HSV初感染による角膜ヘルペスを疑い,アシクロビル眼軟膏,ガチフロキサシン点眼,バラシクロビル内服を行った。急性期および回復期に血液を採取し血清ウイルス抗体価を測定したところ,初診時はHSVのIgM抗体およびIgG抗体はともに陰性だったが,回復期にはいずれも陽性化していた。成人で角膜ヘルペスウイルス初感染が疑われ,ペア血清検査が診断の一助となった。治療にはアシクロビル眼軟膏に加え,バラシクロビル内服が有効であった。HSV初感染での角膜ヘルペスは成人でも起こり得るため,発熱等の症状の観察,ペア血清検査での抗体価の測定も有用と考えられた。
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