症例報告
フェムトセカンドレーザー白内障手術後の急性眼内炎の1例
日下 真吾
1
,
石田 友香
1
,
厚東 隆志
1
,
斉藤 翔子
1
,
井上 真
1
,
平形 明人
1
1杏林大学医学部眼科学教室
キーワード:
フェムトセカンドレーザー
,
白内障手術
,
眼内炎
,
femtosecond laser
,
cataract surgery
,
endophthalmitis
Keyword:
フェムトセカンドレーザー
,
白内障手術
,
眼内炎
,
femtosecond laser
,
cataract surgery
,
endophthalmitis
pp.657-662
発行日 2021年7月5日
Published Date 2021/7/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002188
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フェムトセカンドレーザー白内障手術(femtosecond laser-assisted cataract surgery:FLACS)術後の急性眼内炎症例を経験した。症例は82歳女性。近医で右眼の白内障に対し,FLACSと多焦点眼内レンズ挿入術が施行された。術4日後に右眼の視力低下と前房蓄膿が出現し眼底透見不能となり,当科を紹介受診した。初診時の右眼視力は手動弁で,超音波検査でびまん性硝子体混濁がみられ術後眼内炎と診断した。当日に前房洗浄,硝子体手術と抗菌薬の硝子体内投与・結膜下注射を施行した。術2日後には瞳孔ブロックを起こしかかったため,前房と硝子体腔を洗浄して抗菌薬の再投与と周辺虹彩切除術を施行した。硝子体液の培養からメチシリン耐性表皮ブドウ球菌が検出された。術中にみられた網膜血管の白線化と網膜出血は徐々に消失し,術3か月後,視力0.6まで回復した。関節リウマチの既往と未治療の糖尿病があり,糖尿病治療も開始した。FLACSでも術後眼内炎は起こり得るため,眼内炎の危険因子などに注意を要する。
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