症例報告
Lowe症候群による先天白内障の3例
半田 弥生
1
,
川田 浩克
1
,
日景 史人
1
,
井田 洋輔
1
,
大黒 浩
1
1札幌医科大学眼科学講座
キーワード:
Lowe症候群
,
先天白内障
,
白内障手術
,
術後緑内障
,
X連鎖劣性遺伝
,
長期経過
Keyword:
Lowe症候群
,
先天白内障
,
白内障手術
,
術後緑内障
,
X連鎖劣性遺伝
,
長期経過
pp.473-477
発行日 2021年5月5日
Published Date 2021/5/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002130
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Lowe症候群は,先天白内障,中枢神経症状,腎尿細管機能障害を3徴とするX連鎖劣性遺伝疾患で,有病率は約50万人に1人と極めてまれである。今回我々はLowe症候群による先天白内障3例の治療を経験し,比較的長期間経過観察ができたので報告する。
初診時年齢は症例1で2か月,症例2で1か月,症例3で2か月でありいずれも男児であった。3例とも生後より筋緊張低下,先天白内障,腎機能障害等を認めLowe症候群と診断され白内障の加療目的に紹介となった。手術時期は症例1で5か月,症例2で3か月,症例3で7か月であり3例とも25ゲージ硝子体カッターで水晶体切除を施行した。症例1では術後に眼圧上昇を認めたが点眼治療でコントロールが得られており,他の症例では術中術後の大きな合併症は認めていない。術後視力は症例2で7歳時に左右とも矯正(0.4)(森実dot card視標)であった。他の症例では精神発達遅滞のため視力検査は不可能であった。
手術は25ゲージ硝子体カッターで水晶体切除を行ったが,術中術後で大きな合併症等はなく,術式として有用であることが示唆された。視力測定できた症例で視力は比較的良好であり,他の先天性白内障同様早期治療が必要と思われた。
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