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ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)は,1990年にYannuzziらによって,網膜色素上皮下の異常血管網とその先端のポリープ状病巣からなり,ポリープ状病巣から出血性,漿液性の網膜色素上皮剥離を生じる疾患として提唱された1)。PCVは,アジアで多くみられ,日本人の滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の半数を占める2)。2005年に日本PCV研究会がPCVの診断基準を策定し,確実眼は「眼底検査で橙赤色隆起病巣を認める」あるいは「インドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)で特徴的なポリープ状病巣を認める」としている3)。PCVは,本邦のAMDの診断基準では,滲出型AMDの特殊型に分類されているが4),最近の脈絡膜新生血管(choroidal neovascularization:CNV)をmacular neovascularization(MNV)と呼称を変更するとしたAMDの専門家らの知見では,PCVを網膜色素上皮下の新生血管〔Type 1 macular neovascularization(Type 1 MNV)〕の異型としている5)。また,PCVは,脈絡膜の肥厚(pachychoroid)も特徴のひとつであり,pachychoroid spectrum diseasesに含まれている6)。それゆえ,PCVはpachychoroidを意識した治療戦略をたてる必要がある。2012年の本邦のAMDの治療指針では,PCVは,光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT),抗血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)薬硝子体注射(抗VEGF注射),PDTと抗VEGF注射の併用となっているが7),この治療指針作成以降に,抗VEGF薬がranibizumabだけでなく,afliberceptや最近ではbrolucizumabが使用できるようになっていることを踏まえ,PCVの治療について解説する。
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