特集 網膜硝子体診療update
Ⅳ.注目の疾患
1.加齢黄斑変性
ポリープ状脈絡膜血管症の概念と治療
辻川 明孝
1
1京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学(眼科学)
pp.239-248
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102495
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疾患概念
ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)はYannuzziによって最初に報告された疾患であり,当初はidiopathic polypoidal choroidal vasculopathy1)と呼ばれていた。その後,multiple recurrent serosanguineous retinal pigment epithelial detachment in black women2),posterior uveal bleeding syndrome3)として報告された疾患と同一の疾患であると考えられるようになり,現在ではPCVと一般に呼ばれている。
当初は黒人の女性に多く,両眼性,ドルーゼンを伴わないといった特徴が挙げられている4)。乳頭周囲の血管から生じる乳頭型(図1)が多いと報告されていたが,その後,乳頭型だけでなく,黄斑部に発症する黄斑型(図2,3),周辺部に発症する周辺型(図4)のPCVも存在することが報告されてきた5)。黒人以外では,日本人をはじめとしたアジア人に多く認められ,現在では日本人の加齢黄斑変性の約半分を占めると考えられている6)。日本人での特徴としては,男性,黄斑型が多く,片眼性が約9割を占めると報告されている7~9)。また,以前から日本人にはドルーゼンが少ないと考えられてきたが,PCVでもドルーゼンを伴った症例も多いことが報告されている10)。
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