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疾患の概要
ポリープ状脈絡膜血管症(polypoidal choroidal vasculopathy:PCV)は,枝状の脈絡膜血管に由来する異常血管網と,その先端の拡張したポリープ状病巣を基本病態とする疾患である1,2)。PCVは滲出型加齢黄斑変性(age-related macular degeneration:AMD)の一病型として分類され,日本人をはじめとするアジア人に多くみられることがよく知られている3)。PCVの診断は,インドシアニングリーン蛍光眼底造影(indocyanine green angiography:IA)が重要で,特徴的なポリープ状病巣を認めれば確定になる。また,もう1つの所見として,眼底検査で橙赤色隆起病巣を認めることも,確定診断として日本PCV研究会から提唱されている4)。海外ではPCVの診断のゴールドスタンダードとしてIAを提唱しており,造影6分以内に単発あるいは複数の瘤状の過蛍光を認めることを必要条件としている5)。
AMDに対する治療は,2016年5月現在,血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)を抑える抗VEGF薬の硝子体内注射が多くの国で施行されている。しかし,PCVにおいては抗VEGF薬単独では,ポリープ状病巣の閉塞効果が得られにくいことがあり,治療前にPCVであるかどうかの診断は重要である。また,2012年にわが国から滲出型AMDに対する治療ガイドラインが示され,その病型を典型AMD,PCV,網膜血管腫状増殖(retinal angiomatous proliferation:RAP)に分けそれぞれ治療方針が推奨されている6)。このことからもフルオレセイン蛍光眼底造影(fluorescein angiography:FA)およびIAによるしっかりとした診断が不可欠になる。そのガイドラインのなかで,PCVは光線力学的療法(photodynamic therapy:PDT)の使用についても記されている。PDTを行う場合,通常はFAによる最大病変直径(greatest linear dimension:GLD)を決めるが,PCVではGLDを小さくし侵襲を減らす目的でIAを用いることも多い。
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