特集 覚えておきたい神経眼科疾患
Ⅳ.瞳孔異常 1.Horner症候群
前久保 知行
1
1眼科三宅病院(名古屋市)
pp.1437-1441
発行日 2021年12月24日
Published Date 2021/12/24
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000002431
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Horner症候群は眼交感神経路の障害であり,眼瞼下垂,縮瞳,顔面発汗低下を主症状とする疾患である。眼交感神経路は視床下部を中枢とし,中枢性ニューロンとして脳幹を下降したのちに,Budge-Wallerの毛様脊髄中枢(C8-Th2)に至る。その後,節前ニューロンとなり肺尖部の胸膜に接しながら走行し,鎖骨を回って上頸部神経節に至る。ここでニューロンを変え節後ニューロンとなり,内頸動脈近傍を上行し,海綿静脈洞を通り眼窩内に入った後に,鼻毛様体神経,長毛様体神経となり瞳孔散大筋に分布する。この経路(図1)3)のどこかで障害が生じるとHorner症候群が生じる。症状としては軽微であることも多いが,延髄外側症候群(Wallenberg症候群),肺尖部腫瘍(Pancoast腫瘍),内頸動脈解離,内頸動脈瘤など致死的な疾患のサインとして出現していることも少なくないため,早期に適切な診断をすることが重要となる。
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