古典のページ
いわゆる「Horner症候群」について
吉岡 愛智郎
1
,
萬年 甫
2
1吉岡医院
2東京医科歯科大学難聴研究施設聴覚機構研究部
pp.828-833
発行日 1965年12月25日
Published Date 1965/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904253
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
Johann Friedrich Horner(1831-1886)はスイスのチューリッヒの眼科医であるが,縮瞳,眼瞼下垂および眼球陥没を3徴候とするいわゆる「Horner症候群」を記載した人として知られている。その原著は1869年,Klin,Monatsbl. Augenheilkunde,7:193-198に"Über eine Form von Ptosis"と題して発表された。この症候群が以上の3徴候のほかに,しばしば顔面の血管運動神経障害(紅潮と発熱)とやはり顔面の無汗症とを伴うことは周知のとおりである。
この症候群はHorner自身論文の冒頭で,「この病像は私にとつて別に新しい症候群ではなかつた」と書いているように,彼以前にその現象も病理もほとんど解明されていたもので,不思議なことになにかのきつかけで彼の名が冠せられるようになつたらしい。ちなみにフランスでは「Claude-Bernard症候群」ないしは「Claude-Bernard-Horner症候群」といわれている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.