増刊号 すべて見せます! 患者説明・同意書マニュアル—[特別Web付録]説明書・同意書の実例99点
10 白内障
フェムトセカンドレーザー白内障手術
三田村 麻里
1
1中京眼科
pp.170-172
発行日 2020年10月30日
Published Date 2020/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410213776
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手術・治療の概要
白内障手術は水晶体超音波乳化吸引術(PEA),continuous curvilinear capsulorrhexis(CCC)が考案され,現在では確立した術式となっている。フェムトセカンドレーザー白内障手術(FLACS)は2009年に初めて報告され,その後日本でも開始された。FLACSは通常の白内障手術を行う前に,専用のレーザー機器を使用して角膜切開,前囊切開,核分割を事前に計画された通りに行うものである(図1)。
術後視力や合併症率など手術成績は研究によってまちまちであるが,最新のメタ解析1)では,FLACSは通常の白内障手術方法と比較し,前囊切開不全や亀裂の発生が高く,黄斑や角膜浮腫,術後眼圧上昇も高いと結論づけられ,Zinn小帯損傷や後囊破損,硝子体ロスといった比較的重い合併症には差がないと報告されている。加えてコストもかかるFLACSではあるが,正確な前囊切開は術者の精神的および技術的負担を軽減でき,核の軟化や正確な位置での角膜切開(強主経線切開,limbal relaxing incisionsやintrastromal astigmatic keratotomy),その再現性の高さなど,FLACSでなければ行うことができない部分もある。白内障を治すだけでなく,より良い視機能と多様性を求められる近年では,手術の選択肢の1つとして呈示されることが望ましい。
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