臨床報告
Staphylococcus lugdunensisによる抗血管内皮増殖因子薬硝子体内投与後眼内炎の1例
犬塚 将之
1
,
石澤 聡子
1
,
小澤 憲司
1
,
恩田 将宏
1
,
川上 秀昭
2
,
望月 清文
1
1岐阜大学医学部附属病院眼科
2岐阜市民病院眼科(岐阜市)
キーワード:
抗血管内皮増殖因子薬
,
硝子体内投与
,
眼内炎
,
Staphylococcus lugdunensis
,
anti-vascular endothelial growth factor
,
intravitreal injection
,
endophthalmitis
Keyword:
抗血管内皮増殖因子薬
,
硝子体内投与
,
眼内炎
,
Staphylococcus lugdunensis
,
anti-vascular endothelial growth factor
,
intravitreal injection
,
endophthalmitis
pp.1535-1540
発行日 2019年12月5日
Published Date 2019/12/5
DOI https://doi.org/10.18888/ga.0000001482
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目的
近年,加齢黄斑変性(AMD)に対する治療として抗血管内皮増殖因子(VEGF)薬の硝子体内投与が広く行われている。合併症として眼内炎があり,起炎菌としてコアグラーゼ陰性ブドウ球菌やレンサ球菌が多いとされる。今回,コアグラーゼ陰性ブドウ球菌のひとつで菌血症や心内膜炎を惹起するStaphylococcus lugdunensisによるまれな眼内炎を経験したので報告する。
症例
81歳,男性。6年ほど前から左眼AMDに対して抗VEGF薬の硝子体内投与が行われていた。1週間前に抗VEGF薬の硝子体内投与が施行され,昨日から左眼痛および視力低下を自覚し受診した。受診時の左眼矯正視力は0.01で,細隙灯顕微鏡検査では左眼角膜にDescemet膜皺襞,中等度の前房内炎症細胞ならびに前房蓄膿を認めた。眼底の詳細は不明であった。眼内炎の診断で即日,硝子体手術ならびに水晶体再建術を施行した。術中採取した眼内液を直ちに培養に供し術終了時にバンコマイシンおよびセフタジジムの硝子体内投与を行った。術後レボフロキサシンならびにセフメノキシム点眼,セファゾリン全身投与を開始した。術翌々日には眼内液からS. lugdunensisが検出され,眼内への薬剤移行性を考慮しリネゾリドの全身投与に変更した。その後,眼内の炎症は徐々に軽減し,術後3か月目の矯正視力は0.1であった。
結論
前房蓄膿を伴う硝子体内投与後眼内炎では起炎菌としてS. lugdunensisも考慮すべきである。
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